ピロール農法の素晴らしさをもっと多くの方に知っていただくために、「人」に密着してインタビューするシリーズ。
今回は福井市内で米粉専門パン店「ぱんて」を営む、店長の水島さんにお話を伺いました。
全国的にも非常に珍しい米粉専門のパン屋さん。こちらのお店にはアレルギーなどで通常の小麦パンが食べられない方が多く足を運ばれるのだとか。
今のお仕事をはじめたきっかけについて教えてください。
もともとこのパン屋を始める前は米農家で働いていました。自分で作ったお米で米粉パンを作っていたんです。
(左:水島さん、右:谷)
高校卒業し、就職したものの若気の至りで1ヶ月で辞めてしまい、そこから職を転々としました。
その後しばらくは父の解体屋で3、4年働かせてもらっていたのですが、そこも潰れてしまい、、、
ある日、突然「そうだ、農業をしよう!」と思い立ったのが25歳の頃だったと思います。
どうして農業の道へ?
工場は基本的に室内で作業をしますし、電気も薄暗かったんです(笑)
屋外に出て体を動かしたい。というのが大きかったのかなと。
人づてで知り合った個人農家さんにお世話になることになり、そこで米作りをしながら、米粉パンづくりを手伝っていました。
7年ほど経った頃、その農家さんが直売所を出すことになり、そこで本格的に米粉パンを日常的に作るお仕事がスタートしました。もともとは「米を作りたい!」と思って始めたんですが、気がつけば米粉パンばっかり作るように(笑)
その直売所で3年ほど修行させてもらってから、2015年にこちらのお店をオープンしました。
お店の名前「ぱんて」は、パン屋のパンと、僕が小さい頃の天パ(天然パーマのこと)というあだ名をもじってつけました(笑)イラストのデザインは友人作です。似ているでしょう(笑)
実はパンづくりを始めて以来、ずっと米粉のパンしか作っていないんです。
普通のパン屋さんが米粉パン「も」作るというケースはよく目にしますが、普通の小麦のパンが作れないパン屋というのは珍しいかもしれませんね、、、笑
谷とピロール農法との出会いについて
谷:私がピロール農法で作った米(米粉)の使い道を模索する中で、同級生である水島さんにコンタクトを取ったのがきっかけです。
お互いに事業主として独立している存在は知っていたものの、6月に東京の展示会(カフェレスジャパン)に出展するにあたり、米粉のスイーツや米粉のパンづくりについて色々と相談・勉強をする必要に迫られまして。
5月ごろに十何年かぶりの再開を果たし、一緒にご飯を食べにいって以来、お互いの活動により深く興味を持ち、様々な相談をさせてもらっています。
展示会でいろんなバイヤーさんから、「米粉パン作れる?」「こういうスイーツは?」と聞かれたものを、都度相談してテスト商品づくりに協力してもらっています。
ゆくゆくは、ピロール米粉でパンを作ってもらったり、ピロール米を置いてもらったり、、、ピロール米もアレルギーに良いとされるお米ですので、水島さんのお店との相性も良い。相互にメリットになるようにお互いの活動を広めていけたらと思っています。
ピロール農法のことを知っていただけるのはありがたいことですし、パン屋さんとしても商品のラインナップが増えるのではないかと。
水島さん:お客様の中には小麦や乳製品へのアレルギーをお持ちの方も多いので、、、。こうしていろんな人と絡めてチャンスをいただけるのは楽しいですし、何より同級生が頑張っているのはモチベーションが上がりますね。これからが楽しみです。
1日のスケジュールを教えてください。
だいたい3時か3時半ぐらいに起床して1時間後にはお店に。生地づくりをしながら成形して、パンを順番に焼いていきます。
お店のオープンが8時なのですが、お店を開けた後もしばらくはパンを焼き続けます。来店のピークは11時~13時ぐらい。
そのあとは休憩をとって片付けや翌日の仕込みをしながら、19時に閉店。といった流れです。
そのあと帰宅して食事をとって、、、としていると大体寝るのは23時ごろ。
こうやって振り返ると結構大変ですね。
寝坊してお店のオープンが遅れてしまう日も時々、、、いや、結構あります。
(お店のインスタでもひときわいいねがたくさんついた寝坊した日の投稿)
理解のあるお客様もいらっしゃってありがたい限りです、、、。
大変なところはありますか?
うーん。。。
・・・大変なことをあげたら、全部大変ですね。
朝起きるのもそうですし、
新しい商品づくりも。特にこの時期は暑くなるので、客足も鈍るんです。
季節商品を考えたり、
雪の日は雪かきも
どのお店も一緒だと思うのですが、永遠の課題かもしれませんね。
ですが、再来週の7月24日は3周年記念ですので、何かイベントを考えたいと思います。
面白いところはどんなところですか?
いいものができたときですね!
(大きなくるみがゴロゴロ入っているくるみパン)
その日の気温や湿度で微妙な加減が変わるんですが、「今日はいい生地だな!」というのが作っていて分かるんです。
米粉のパンづくりは基本的に本を読んで勉強したのですが、そもそも米粉パンの本って数が少なく、また製粉のしかたや種類が違うと本の通りにできないんですよ。レシピ通り作っても、全然本の通りにできないんです!
それで自分で米粉のパンづくりを試行錯誤して、、、
今お店に出しているものはほとんどがうちのオリジナル商品なんです。
この先考えていることについて教えてください。
ぼちぼちやって、ぼちぼち生きていけたらいいなぁと思います。
ただ、5年後ぐらいにはカフェをやりたいですね。
そこで完全グルテンフリーの商品も出したいです。
今のこのお店も、自分でお店を出そう思った頃に、通りすがりで「ここだ!」と思ってこの場所にしたんですよ。
店で使うオーブンや機材も、知り合いのおっちゃんから「XXXにあるパン屋さんが店じまいをするらしい」との話を教えてもらい、すぐにそのお店に電話をかけ「機械どうするんですか?僕に譲ってください!」とお願いをしました。
僕が電話をかけた時にはすでに別のお相手の方と話が進んでいたようなのですが「若い人に譲ってあげよう」と思ってくださったらしく、格安で譲っていただくことができました。
お店を始めるにあたり、前の直売所で一緒にパン・お菓子づくりをしていたスタッフも一緒にお店を手伝ってくれることになり、2人でお店を切り盛りしています。
ぼちぼちやりながらも、こう、、、要所要所で閃いたり、チャンスを掴むのには恵まれていますね(笑)私にとっては「 ぼちぼち」が一番しっくりくるスタイルなのかもしれません。
以上、米パンの店「ぱんて」の水島さんのインタビューでした。
シリーズでたくさんの方のインタビューに関わっているのですが、本当にひとそれぞれ。「ぼちぼちやりながら・・・」と言いながらもしっかりとチャンスを掴んでいる自然な佇まいが、引きの強さを感じさせます。
今回谷が相談させてもらったのもまさにそうなのですが、水島さん自身は全くガツガツしていないのに、いい話は相手からやってくる。そんな「ぼちぼち」が持つ不思議な魅力が水島さんにはあるのかもしれません。
お互いに同級生というのも非常に刺激をもらっています。お互いの良さをより引き出せるよう、これからも様々な形で協力していきたいと思います!
米パンの店「ぱんて」に行くには
アクセス 910-0017 福井市文京6丁目16-6ウォーブルKハイツ1F
電話 0776-63-6781
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